住宅で一番大切なこと

2011.12.03

専業主婦でさえ住宅を選ぶ時に、オトーサンが元気に働いてもらえるようにとか、労働力の再生産でなくても子供がいい学校に入るために勉強しやすいとかいうこと、つまり教育も含めて社会的に通用する価値で、最終的に財貨につながるようなものを生産する場となることを考えているようです。住宅には確かにそういう面もありますが、それを第一に考えるとハウトウから出られないので、私は住宅を、本質的には生産の場ではなく消費の場なんだと考えています。

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これはまあ消費だけでは困るという当たり前の、野暮なことを言う人がいないことを前提にして言えばですが……。消費とは何の消費かというと時間の消費ですね。つまり住宅は「時を経たせる」場所だと思います。それもできれば豊かに経たせたい。豊かにとはどういうことか、というと結局「ただ居る」ということで、住宅で一番大切なのはそれができるかどうかでしょう。言語学のほうでは「住む」という言葉は、水が「澄む」と共通の語源とされていますが、そうだとしたら、澄んだ水のような場で心安らかに「居る」のが住宅の本質とも言えるわけです。料理のしやすい台所とか、騒音を防いだ寝室とかの機能的な充足はもちろん重要で、それすらできなかった時期は「居る」なんて呑気なことは考えられなかったのでしょうが、その面が一応満たされた今日は、住宅の本質をあらためて思い出すべきでしょう。




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