「仮の宿」という概念

2011.09.30

日本人の意識構造の中に深く定着している「仮の宿」という概念は、なぜ衣・食・住のうち住宅に対してのみ関心が薄いのかを読み解く、キーワードにもなり得るのではないでしょうか。学校で、住環境や住まい方に関する授業が、欧米などの諸外国に較べてあまりにも少ないことも、この現象に拍車をかけています。特に家庭科の授業が少ない男性は、住宅に関して殆ど何の知識もないまま社会に出てしまうため、押しつけの間取りや住宅を甘んじて受け入れる大きな原因になっています。「仮の宿」という意識や、住まいに関する教育の欠如は、いま大きな変貌の過程にある家族を考えるとき、住まいが本来人間に果たす役割や、住まいがどんな意味を持つかという問題に正しく対処する力を失わせてしまいます。その意味で私たちは、住まいとは何かという基本に立ち戻って、暮らしやすく住みやすい人間空間の論理を考えることから、まず、始めるべきではないかと思います。

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