公園や広場のない密集住宅地、水田地帯を整備しないままに進行する郊外のスプロール地域では、子供たちが道路、わずかの空地、どぶ川べり等で遊ぶため、予期せぬ事故が頻繁に起こることになる。「むだにすまい愛児の死、遊びは死と背中あわせ。どぶ川放置」「死を誘ったダンボール遊び」等々。そこで危険を避けて、家屋内でテレビを見てばかりいたり、塾通いせざるをえないという現象が出てくる。東京都教育委員会『小学生の家庭生活の実態』(一九七〇年)によると、小学六年生になると四人に一人の児童は塾通いしている。
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一九七七年の文部省の調査では、全国の小学生は八人に一人、中学生は三人に一人が塾通いしており、大都市になるほどふえている。この学習塾は、最近では学力向上と同時に遊び場のない児童の勉強と安全をかねた場所になっているという(朝日、“変わる学習塾の性格・遊び場奪われ、児童の「勉強」と「安全」の場”、七〇年五月)。財団法人余暇開発センターが、東京都の小学二年、四年、六年生九二六人を対象に遊び場を調査した結果によると、「自宅の中」四三%、「友だちの家の中や庭」一七%、「自宅の庭」一一%、「近くの公園」九%、「あき地」六%、「道路」五%、「学校のグラウンド、社寺」四%、「その他」五%となっている(読売、七九年一月一六日)。児童遊園がなければ、マイホームの庭にすべり台やブランコをつくらねばならない。買物に便利で病院や公共施設が遠く、道路が悪ければ、マイカーへの欲望がかき立てられる。家のまわりに教養・娯楽施設がないために、テレビ、ステレオ、ピアノ、ホームバーで満足し、食料品店が遠ければ冷蔵庫が重宝であり、機能を発揮する。その結果、そうでなくても狭い住居は耐久消費財に占領され、さらに狭小となる。また、保胃所がないために主婦が働きに出られない、ということも起こる。こうして、農村住宅とちがい社会的な施設に生活機能の多くを依存して成立している都市住宅は、再びすべての生活手段を自給しなければならず、そのための出費が強いられ、それができない場合は極度に悪い生活条件に見舞われることになる。社会的サービス施設の貧困は、即住居水準の低下を意味する。だから住生活の質をあげるには、こうした施設をつくることによっても、ある程度実現できることなのだが、現状はまったく逆であり、社会化から個人化へと逆コースを歩んでいるのである。生活環境施設の不備の問題は、つまりは、住生活の貧困の問題と考えねばならない。